汗疹 [生活]
5月中旬を過ぎたが、今年の夏期はいつまでも続き例年になく暑い。昨日は朝夕25℃で、日中は30℃を余裕に超える。スモーキーマウンテン本住宅で、夏休み中の子どもたちも直射日光が強いので日中は屋外に出歩かない。昼食時間帯にTVのあるユニットでは、子どもたちは皆、大衆人気番組にかじりつき、一緒に歌ったり踊ったりしている。昼食後14:00~16:00ぐらいはお昼寝タイムになる。その時間帯になると本住宅のビルディングも静かになるが、幼児の泣声がどこからともなく聞こえてくる。ユニットの外で泣いている幼児をあやしている姉妹の子に聞いてみた。「どうして泣いてるの?」聞くまでも無かった見るからに汗疹で泣いていることがわかった。水浴びをさせても、ユニットの部屋が暑いので汗疹が引かないと言っていた。
▲おでこに汗疹
▲汗疹を痒がる幼児
▲全身汗疹であった
カレッサ [文化]
スモーキーマウンテン本住宅を出るとバランガイ129に沿ってロドリゲス通りが走っている。その通りに「パッカパッカパッカパッカ」とリズムよく路面に馬の蹄の音が響く。カレッサ(Kalesa)と言われる一頭立て二輪馬車である。カレッサとは、旧教会スラヴニック語で「車輪(wheels)」の意味で、自動車の前身だと言われている。カレッサの歴史は古くスペイン統治時代の18世紀にフィリピンに移動手段として導入された。一般乗客の人数は3人という少人数乗車用であり料金的には割高で一般に裕福な層が利用する。13歳の時からカレッサの馬を操る御者を41年しているトンド出身のBoy(54)さんは、カレッサ主から200ペソでレンタルをして9:00~20:00間営業をして700ペソの売上になるそうだ。ちょっとそこまで乗せてとお願いしてみた。料金は3人で70ペソ、約3㎞先のビノンド(Binondo)という華僑中心の総合卸問屋街まで乗せて行ってくれるとのことで、小生とスラムの子ども2人は、カレッサに乗って小旅行を楽しんだ。
▲現在マニラにカレッサは約200馬車走っている
▲カレッサの車輪の間に水と糞入れのバケツが吊るしてある
▲スモーキーマウンテン本住宅からビノンド教会までBoyさんのカレッサに乗せてもらった
▲中華街を走るカレッサ
▲カレッサの馬の目隠しは、横に大きなトラック等が来ると怖がるので
前だけ見えるようにしてある
ゴミ集積場の穴掘り [生活]
スモーキーマウンテン仮設住宅隣地にあるトンド地区ゴミ収集場のゴミがリサール州モンタルバン地区とナボタス地区の埋立て場に移されるようになってから、トンド地区ゴミ集積場で新しいことが始まった。以前は24時間ゴミを廃棄していたが、現在はマニラ市から出るゴミをゴミ収集車が朝6時から正午まで運んで来る。ゴミ集積場に廃棄されたゴミを拾って分別をして販売している職業の人達の競争率が上がり、収入不足となってきた。そんな中、トンド地区のゴミ集積場は殆んど平らに整地されたゴミ集積場に日除け用にシートを張って、ゴミ集積場に穴を掘り始めている。穴掘りをして換金可能なモノを掘り出している。
▲トンド地区の整地されたゴミ集積場
▲あちらこちらに日よけシートを張って、ゴミを掘り返している
▲海水が湧きあがってくる
▲限りなく掘り続けて行て一攫千金を?
▲セリア(10)は生れてからずーっとゴミを拾っていて、読み書きが出来ない。
「学校に行きたくないの?」と聞いてみたところ、「ゴミを拾って家族の生計を助けるの」
という返事が返ってきた。
カワワ・ビーチ [生活]
トンド地区にピア18(Piar)というハーバーがある。そこはスモーキーマウンテン仮設住宅隣地のゴミ集積場でもある。この海岸線沿いにはスクワッター(違法占拠住民)が暮らす約300世帯のスラム街がある。青い海、美しく白い砂浜が続く海岸には・・・と言いたいところだが、その全く逆で「黒い海、汚くて臭いゴミで出来た浜が続く海岸で多くの子どもたちが海水浴をしている。」このビーチに誰が名付けたか知らないが「カワワ・ビーチ」と呼ばれている。「カワワ・ビーチ」のカワワ(Kawawa)とはタガログ語で「可哀相」という意味である。このスラム街には水が無いので住民は毎日このカカワ・ビーチで水浴びをしている。
▲カワワ・ビーチの黒い海、汚くて臭いゴミ浜、コンクリートの防波堤の上には、
人の糞がいっぱいあったので便所と言った処だろうか?
▲カワワ・ビーチで毎日海水浴をする子どもたち
▲カワワ・ビーチのゴミ浜沿いは、バロンバロン(継接ぎ細工の家)が建ち並ぶ
自警団 [仕事]
フィリピンのバランガイ(行政最少地区)にバランガイ・タノッド(Barangay Tanod)という自警団がある。スモーキーマウンテン本住宅には、バランガイ・タノッドA、Bチームが有る。各チームは24人で構成されていて7:00~19:00はAチーム、19:00~7:00はBチームがバランガイの警備にあたる。日中はこれといって事件等はない。夜の警備で起こるケースは、夫婦げんか、青少年のシンナー遊び、酔っ払っての喧嘩、勢い余って人を刺してしまう等がある。事件が起こると住民たちからの明確な情報を得て警備にあたる。犯罪を犯すとバランガイホールに留置され警察に引き渡される。このバランガイ・タノッドは皆ボランティアで参加している。
▲バランガイ・タノッドは4人一組で行動する
▲警備はトライシクルで巡回する
スクラップショップ [仕事]
スモーキーマウンテン仮設住宅の隣地ゴミ集積場でゴミを拾った人たちは、1日単位で拾ったゴミの分別作業を行う。ゴミは約16種類に分別される。分別されたゴミは袋詰めにして重量を計る。秤で重さを計ることをタガログ語でティンバン(Timbang)という。ティンバン=スクラップショップとゴミ集積場では同位語になっている。このティンバンの仕事を始めてから8年なるJosephさん(45)は、分別済みのゴミを売りに来る人を待ち、分別済みのゴミの種類と重さで買い取る。買い取った分別済みのゴミは、種類別のリサイクル業者に転売して利益を得る。
▲スクラップ買取単価 (各1kg)(1ペソ=2.55円)5月16日現在
▲拾ったゴミの分別作業をする(ペットボトルラベル剥がし)
▲Joseph(写真左)さんのスクラップショップ
▲スクラップの重量を計る
▲種類別に買い取ったスクラップ
▲リサイクル業社に転売をするスクラップショップ
選挙はお祭り気分 [雑感]
昨日7:00~15:00は中間選挙投票日。小生は選挙権も無いのに、スラム住民の選挙が気になり早朝から投票所をうろつき、開票現場も見てきた。マニラ第1選挙区(Manila 1st Legislative District)。この地区はスクワッター(違法占拠住民)あるいは都市貧困層が大半で、スモーキーマウンテン本住宅の住民も投票に行く投票所の一つ、ティ・パーイス小学校(T.Paes.Elementary School)である。小学校の表通りは、投票に行く人たちと投票を済ませた人たちが、ジープニー(庶民の移動手段)の乗り降りでごったがえしている。まるでお祭りのような熱気に包まれている。投票所に向かう露地には候補者キャンペーンチームが、チラシやサンプル・バロット(サンプルの投票用紙)を配っている。小生も○○氏に投票をお願いしますと言われサンプル・バロットとミネラルウォーターを受け取った。それぞれの候補者キャンペーンチームは、スラムへのビラ配り、ポスター張り、遊説隊として朝から晩まで献身的に行っていた。その恩恵として選挙前の一時的な利益として交通手当、食事手当やおこずかい程度の日当、キャンペーン用のTシャツや帽子等を得た。政治家として巨大な富を得ている候補者や比例政党は、票を集める為に都市貧困層を取り込むことの重要性を知っている。スラムに暮らす住民たちは、その時の利権で行政や政権関係者に動員して利用されるが、また住民たちの必要な時には行政や政権関係者を利用する。候補者キャンペーンチームの地区取りまとめ役をしたビッキーさん(仮名)(女性57歳)は、住民たちは貧しいので色んな人に利用されるが、私たちも候補者から利益を引き出していると言っていた。
投票が終わり、開票は始まったが当選結果は何時分かることやら・・・。
▲投票所の小学校の表通りは渋滞
▲チラシやサンプル・バロットを配るキャンペーンチーム
▲まるでフェスティバル(お祭り)のようである
▲投票所のティ・パーイス小学校の入口
選挙投票日 [行事]
3月30日~5月12日の中間選挙キャンペーン期間中、候補者や比例政党は多数の車両を動員して支持を訴えていたが、遊説隊の見境のない車両動員が交通渋滞を引き起こし、騒音もひどかったキャンペーン期間も終わり5月14日(月)投票日を迎える。フィリピン中間選挙の投票日は、大統領令で特別休暇になった。選挙管理委員会(Comelec)は6日に、定数1万7,889に対し4万5,954人が立候補した。中間選挙の登録有権者数は4,502万8,088人だと発表した。この選挙に伴い2007年5月13、14日は禁酒令が発令された。公共の酒類販売禁止はもとよりレストランにおいても酒類の提供が禁止される。本当の理由はわからないが、深酒をして投票に行かない人を少なくするのと、明確な投票をする事と犯罪の阻止でないのであろかと、スモーキーマウンテン本住宅の住民が言っていた。その後テレビのニュースで国家警察は8日に選挙キャンペーン期間中の政治的殺人事件の犠牲者数は全国で96人に達したと発表した。警察当局は「投票当日も含め国軍などと協力して、暴力・殺害事件の防止に努める」と言っていた。禁酒令が出てもスモーキーマウンテンの本住宅で酒盛りをする場に出くわしたが、警察はここまでは取り締まれない。
▲街の宣伝用看板に選挙候補者と比例政党のポスターとバーナー
▲あらゆる壁に候補者宣伝用ポスター
▲上院議員候補者公示看板
▲スラム街のバロンバロン(継接ぎ細工の家)に候補者のポスター
ジャパニーズ・スィート・コーン [仕事]
「ジャパニーズ・スィート・コーン、甘いよ、甘いよ」とお客さんに声をかけるLindaさん(34)(写真右)は、スモーキーマウンテン本住宅で「トウモロコシ売り」を始めて3年になる。約100本のトウモロコシを1,000ペソで仕入る。ジャパニーズ・スィート・コーンがフィリピンで栽培され市場に出るようになってから約3年経つ。ジャパニーズ・スィート・コーンは、甘くて人気がある。塩茹でしてちょっと大きめなトウモロコシは12ペソ、普通サイズは10ペソ、半分が6ペソ、3/1サイズは3ペソで販売している。一日で約100本のトウモロコシを完売するそうだ。ニコニコ笑いながら「今日は325ペソ儲けたわ」と嬉しそうなLindaさん。人柄の良いLindaさんの周りにはいつもお客さんがいる。
▲Lindaさん(写真右)はトウモロコシをいつも完売する
▲売れたら竹串を刺して、仕上げにバターと塩をつける
メトロマニラ首都圏の廃棄物 [報告]
メトロマニラの廃棄物はどれぐらいあるのだろう?首都開発局(Metropolitan Manila Development Authority)2003年の統計によるとメトロマニラ首都圏の人口は9,454,040人、廃棄物の量は一日6,141トンが9箇所のゴミ集積場に廃棄されている。9箇所のゴミ集積場は、モンタルバン(Montalban Rodriqes Rizal)、サンマテオ(San Mateo Rizal)、タンザ(Tanza Navotas)、リンゴナン(Lingonan Valenzuela)、パヤタス(Payatas Quezon City)、サンペドロ(San Pedro Laguna)、カットモン(Cutnon Malaban)、トンド(Pier18 Tondo Manila)、プランルーパ(Pulang lupa Las pinas)である。廃棄物の種類は、生ゴミ45%、紙類17%、プラスチック16%、木類5%、ボロ布4%、ガラス3%、ゴム類1%、タイル類1%、その他1%。廃棄物の出所は、家庭74.15%、一般(ショップ)10.24%、一般(レストラン)8.18%、市場6.13%、オフィス.75%、道路.45%、川の清掃.10%である。人口が増え続けると、ゴミの量も増え続けて行く。
市、自治体 | 人口(人) | 廃棄物量 (t/日) |
Quezon City | 2,173,831 | 1,373 |
Manila | 1,581,082 | 916 |
Caloocan | 1,177,604 | 769 |
Makati | 444,867 | 271 |
Pasig | 505,058 | 318 |
Marikina | 391,170 | 247 |
Mandaluyong | 278,474 | 172 |
Pasay City | 354,908 | 213 |
Muntinlupa | 379,310 | 232 |
Paranaque | 449,811 | 287 |
Las Pinas | 472,780 | 273 |
Valenzuela | 485,433 | 307 |
Taguig | 467,375 | 303 |
Malabon | 338,855 | 209 |
Navotas | 230,403 | 143 |
San Juan | 117,680 | 72 |
Pateros | 57,407 | 36 |
合計 | 9,454,040 | 6,141 |
▲メトロマニラ首都圏の地図(MMDAより)
▲スモーキーマウンテン仮設住宅隣地のゴミ集積場(トンド)
▲ケソン市パヤタスのゴミ集積場